今日は
「給与を公開しない理由」
というテーマに触れてみたいと思います。
 
 
①あなたの選択を助ける「相対性」
②役員報酬の公開を義務付けたら起きたこと
③企業が給与を公開しない本当の理由
 
 
あなたは
「値札を見て高いな~」
と感じたことはありますか?
 
 
また一方で
「これは安いな~」
と感じたこともあるかもしれません。
 
 
何かと比較して
「高い」
「安い」
と判断をしていると思います。
 
 
その
「比較軸」
は人それぞれです。
 
 
このように
「相対性」
というのは選択を助けてくれるものです。
 
 
しかし時には
「意図しない結果」
を生むこともあります。
 
 
それがこんな例です。
 
 
1992年にアメリカの証券規制当局が
「経営幹部の報酬を開示することを義務付け」
をしました。
 
 
1976年ごろのCEOの平均報酬は
「社員給与の平均の36倍」
というデータが出ていました。
 
 
幹部と社員の格差を食い止める必要があったわけです。
 
 
それで
「報酬額を開示すれば止まる」
と考えたわけです。
 
 
公開されれば
「法外な報酬は与えにくい」
という狙いからです。
 
 
では実際にどうでしょうか?
開示が義務とされた翌年の報酬は収まったでしょうか?
 
 
1993年のCEOの平均報酬は
「社員の平均給与の131倍」
という結果になりました。
 
 
その後は
「経営者報酬ランキング」
という特集が毎年組まれるようになります。
 
 
そうするとCEOたちは
「よその経営者の報酬と比べる」
ということを始めます。
 
 
その結果、現在は
「369倍」
にも広がっているようです。
 
 
「経営者の見栄の争いの結果」
と言えるでしょうか?
 
 
ビジネスパーソンが
「自分の給与の話」
をしたがらない理由も同様です。
 
 
例えばAさんは
「年収1,000万円稼いでいる」
とします。
 
 
年収1,000万円の割合は
男性 6%
女性 1%
と言われています。
 
 
Aさんが
「高所得者」
であることは間違いないでしょう。
 
 
Aさんはそれが誇りでした。
 
 
周りには
「1,000万円プレイヤー」
は見当たりそうにありません。
 
 
そんなAさんが
「同窓会」
に行きました。
 
 
そしたら複数の同級生から
1,500万円
2,000万円
稼いでいるという話を聞かされます。
 
 
その瞬間
「自分が稼いでいない」
と思いこんでしまいました。
 
 
このように
「所得に関して相対性は適していない」
ということがわかります。
 
 
ほとんどの企業が
「社員の給与を公開しない理由」
もここにあります。
 
 
営業部門では
「成績を貼り出す」
「ランキングをつける」
などと成績を明らかにしています。
 
 
しかしそれと連動する
「給与」
は明らかにしません。
 
 
なぜでしょうか?
 
 
それは
「1番稼いでいる人以外、給料が少ないと感じてしまうから」
です。
 
 
「自分の給与が安すぎる」
という社員はどういう行動をとるでしょうか?
 
 
「売り手市場」
の現在では想像に難くないですね。
 
 
これが会社が給与を公開しない理由です。
 
 
今日は
「給与を公開しない理由」
というテーマに触れてみました。

著者:
行動創造理論第一人者
レゾンデートル株式会社代表取締役
齋藤英人